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文献詳細

雑誌文献

臨床検査21巻8号

1977年08月発行

文献概要

編集者への手紙

簡便な髄液細胞採取方法

著者: 久米芳見1 二宮恒夫1

所属機関: 1徳島大学小児科

ページ範囲:P.890 - P.891

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 髄液細胞数の変動と同時にその細胞組成を調べることは,疾病の病態像を理解するうえで,非常に重要なことは言うまでもありません.髄液細胞を詳しく分類するためには,できるだけ大量の髄液細胞の採取と,鮮明な塗抹標本の作製が必要です1).しかし,ただ単に髄液を遠心分離し,管底の細胞を塗抹したのでは,細胞の破壊がひどく,目的を十分に達しえないことが多い.現在,髄液細胞の分類に有用な方法として,①沈殿法2,3),②ミリポアフィルターを用いる濾過法4),③サイトセントリフユージ法5)などが考案されています.これらの方法のうち②は細胞が壊れやすく,③は非常に高価であるという欠点があります.そこで我々は,沈殿法を参考により安価で簡便な装置を考えたので紹介します.
 この装置は,内径約1cm,長さ5cmの透明なプラスチック管(井内盛栄堂より販売されている),濾紙,ゴムバンド,固定台より成り,図のごとく組み立てる.すなわちスライドグラスの上にプラスチック管を載せ,その間に管の内径に一致した孔をあけた濾紙をはさみ,固定台に取り付けたゴムバンドの弾性を利用して圧迫する.プラスチック管内に採取した髄液を注入すると濾紙が圧迫されているので,髄液の液体成分はゆっくりと濾紙に吸収され蒸発し,細胞は沈殿してガラス面に粘着する.なおプラスチック管の切り口はサンドペーパーにて滑らかにし,この平面で濾紙を圧迫することにより細胞が濾紙に吸収されるのを防ぐ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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