文献詳細
文献概要
Laboratory Instrumentation
螢光光度計
著者: 辻章夫1
所属機関: 1昭和大学薬学部・薬品分析化学教室
ページ範囲:P.902 - P.905
文献購入ページに移動1.原理と特徴
螢光分析法は,試料に励起光を照射し,その結果放射される螢光を測定して定性,定量を行う分析法である.
光の吸収と発光の過程を模式的に図1に示す.基底状態(S0)にある分子が光を吸収して高いエネルギーレベルの励起一重項状態(S1,S2,……)に移る.図1には振動エネルギーレベルも示してある.光の吸収は分子の基底状態の低振動エネルギーレベルから起こり,励起状態の幾つかの振動エネルギーレベルに移る.大部分はS1状態に励起され,S2,S3,……に移ったものは約10−12秒以下でS1状態へ光を放射せずに移る(無放射遷移).次いでS1の最低振動レベルに移り,そこから基底状態の可能な振動レベルに光(螢光)を放射してもどる.螢光はほとんど励起一重項状態の最低振動レベルから起こるので吸収された光のエネルギーよりも熱エネルギーとして損失した分(無放射遷移)だけ小さくなり,したがって,螢光は吸収された光より長波長であり,螢光スペクトルと吸収スペクトルは鏡像関係がある.
螢光分析法は,試料に励起光を照射し,その結果放射される螢光を測定して定性,定量を行う分析法である.
光の吸収と発光の過程を模式的に図1に示す.基底状態(S0)にある分子が光を吸収して高いエネルギーレベルの励起一重項状態(S1,S2,……)に移る.図1には振動エネルギーレベルも示してある.光の吸収は分子の基底状態の低振動エネルギーレベルから起こり,励起状態の幾つかの振動エネルギーレベルに移る.大部分はS1状態に励起され,S2,S3,……に移ったものは約10−12秒以下でS1状態へ光を放射せずに移る(無放射遷移).次いでS1の最低振動レベルに移り,そこから基底状態の可能な振動レベルに光(螢光)を放射してもどる.螢光はほとんど励起一重項状態の最低振動レベルから起こるので吸収された光のエネルギーよりも熱エネルギーとして損失した分(無放射遷移)だけ小さくなり,したがって,螢光は吸収された光より長波長であり,螢光スペクトルと吸収スペクトルは鏡像関係がある.
掲載誌情報