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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻10号

1978年10月発行

文献概要

カラーグラフ

解説

著者: 赤木正志1 高安進2 河上清3

所属機関: 1八尾市立病院皮膚科 2大阪大学・皮膚科 3蚕糸試験場硬化病研究室

ページ範囲:P.1052 - P.1052

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 Paecilomyces lilacinusはかつてSpicariaあるいはPeni-cilliumとされていた糸状菌であるが,ヒトの病原菌として話題にのぼることはほとんどなかった.1974年,阪大皮膚科に5歳のころから10数年にわたって頑固な皮疹を頬〜頤部に発生した女子の患者が受診し,翌年それが意外にもこの菌による真菌感染症であることが明らかとなり,その病原性について新たな認識が必要となってきた.この症例はArch.Dermatol.,113, 1687〜1690, 1977に報告されたが,北里大学でも黒色真菌症に合併した膿瘍性肉芽腫から本菌種が分離きれている.1972年,Fenechらも胸水から本菌種を分離しており,歴史的には1905年にBaquisらがVerticillium rubrumと命名した菌による角膜潰瘍を報告しているが,同一菌種のものと推察される.
 阪大分離のP.lilacinusは淡桃色の美しい集落を作る菌である(図5).集落の裏面はサブロー培地ではクリーム黄色であるが,ツァペック培地やツァペック・ドックス培地では酒赤色の色素を産生して極めて印象的な菌である(図7).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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