icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻10号

1978年10月発行

文献概要

研究

はり付け法による脂肪染色の試み—クロム硫酸カリウムゼラチン法

著者: 宗岡熙1 岡本勲2

所属機関: 1済生会八幡病院中検病理 2済生会八幡病院中検

ページ範囲:P.1118 - P.1119

文献購入ページに移動
はじめに
 Daddi (1896)以来脂肪染色は,今日までいろいろな方法が試みられている.脂肪は,アルコール,キシロール,ベンゼン,クロロホルムなどの有機溶剤に溶けるため通常のホルマリン単独固定パラフィン切片を用いることはできない.しかし重クロム酸カリウム,オスミウム酸,ホルマリンカルシウムなどで固定あるいは再固定し脂肪を不溶性にすればパラフィン切片法でも可能である1).だがこれらの方法は,時間が長くかかることや操作が煩雑なこと2)から一般には余り用いられず,今日ほとんどの脂肪染色は凍結切片による切片浮遊法が用いられている.しかし,この方法も切片作製に高度の技術が要求され薄い良好な標本を得にくく,特に脂肪成分に富む組織や脾,リンパ節などを染色操作するときたいへん難しいことを日常経験する.そこで著者らは,螢光抗体法で使用するはり付け剤すなわちクロム硫酸カリウムゼラチン混合液3)を用い,その強力な接着力によりスライドグラス面から切片が剥離することなく極めて薄い切片でも簡単に操作でき,しかも細胞と脂肪との関係も明瞭で染色性も良好な標本を得ることができたので,その方法について報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?