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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻11号

1978年11月発行

文献概要

特集 酵素による臨床化学分析 総論

1.酵素的分析法

著者: 北村元仕1

所属機関: 1虎の門病院生化学科

ページ範囲:P.1166 - P.1179

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はじめに
 酵素的分析法とは,その名の示すように酵素を試薬として用い,酵素反応を利用して目的物質を定量する技術である.酵素は本来生体化学成分の代謝を特異的につかさどるものであるから,原理的にはあらゆる生体成分を酵素的に測定することが可能である.事実,現在では既に200種類に達する生体成分の酵素的分析法が確立されており1),化学物質のほかにも生体液中の極めて多種の酵素活性が酵素的に測定されるようになっている.
 今日,酵素的測定法と称されるものはしかしながら物質,すなわち基質濃度の測定に限定される場合が多い.すなわち血清コレステロールや中性脂肪の酵素的分析法がこの数年間に驚くべき勢で普及し,更にリン脂質やアンモニア測定などへと従来極めて実施の困難であった臨床検査を一挙に一段階の簡便法として発展させた.それらの原因が,正に酵素反応の持つ特異的,温和,安全な特性からもたらされたものであったことから,酵素的分析法(enzymatic analysis)として衆目を集め,現在では"酵素法"という略語までが一般化した.はじめからこのような技術が一分野を画していたわけでは全くないのだけれども,改めてその歩みを振り返ってみれば,ウレアーゼによる血液尿素窒素の測定から,コレステロールオキシダーゼ法に至る60年の道のりをたどることができるだろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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