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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻11号

1978年11月発行

文献概要

特集 酵素による臨床化学分析 酵素利用技術

2.半定量・定量用酵素試験紙

著者: 奥田清12

所属機関: 1大阪市立大学 2中央臨床検査部

ページ範囲:P.1203 - P.1218

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はじめに
 いわゆるdip and read方式の尿試験紙の発明は,尿検査法に大きな変革をもたらしたことはここで述べるまでもない.そして更に,この試験紙ストリップの多項目化は,自動分析装置のマルチチャンネル化,あるいは計量診断学なる概念の評価とあいまって,診断作法の体系を従来の問診→診察→検査項目の選択→……という直列的なものから,臨床検査を理学的診断法と同列に行い,より多くの臨床情報によって診断を進める併列思考型の診断学へ,その体系を変革させつつあると言えよう.もちろん,この診断体系の変革は現在流動的であるが,近い将来一定の評価を受けるであろう.
 試験紙による分析方式は簡易検査法の一つの理想的な方式と考えられ,従来のセルロース(濾紙)を基材としたものから,プラスチック板,後述するごとき多重積層フィルムを用いたものが実用化され,更にはガラス線維など,他の各種の含浸基材にもその適用範囲は広がっていくであろう.また,反応操作型式は尿,血清あるいは唾液などの体液用のdip and read方式のものや,全血用のdip, wipe and read方式のもの,更にはユニグラフに代表される変則的なペーパークロマトグラフィー方式のものなど,この面でも多様化しつつあり,従来から有機化学のある分野など一部で用いられていたいわゆるスポットテストなどとともに,一つの分析体系を形成する可能性もある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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