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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻11号

1978年11月発行

特集 酵素による臨床化学分析

定量法各論

3.尿素

著者: 田畑勝好1

所属機関: 1京都大学医療技術短期大学部

ページ範囲:P.1273 - P.1285

文献概要

はじめに
 尿素はタンパク質の代謝終末産物のうちの一つである.食物中のタンパク質は消化管で加水分解されてアミノ酸になり,血管を経て肝臓に運ばれる.ここでアミノ酸の一部はアルブミンやグロブリンなどの血液タンパク質に合成され,残りは肝臓以外の組織に運ばれてタンパク質に合成される.不用になったアミノ酸は脱アミノ化されてアンモニアが生じ,その一部はカルバミルリン酸シンターゼによって,二酸化炭素とATPと反応してカルバミルリン酸が合成される.カルバミルリン酸はオルニチントランスカルバミラーゼによってオルニチンと反応して,シトルリンを生成する.
 これより尿素サイクルに入り,アルギニノコハク酸を経てアルギニンができる.アルギニンはアルギナーゼの作用でオルニチンと尿素に不可逆的に加水分解され,尿素サイクルは尿素生成の向きにだけ進行するから,いったん尿素生成に使用された窒素は再利用されない.アルギナーゼは肝臓に存在するので,尿素合成は主として肝臓で行われ,その他脳や腎臓でもいくらか合成される.生成された尿素は血液中に入り,腎臓から尿に排泄される.その量は小児8g,成人15〜30gと言われている.尿素は細胞膜を自由に通過することができるから,どこの体液でもその濃度はほとんど同じである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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