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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻11号

1978年11月発行

文献概要

特集 酵素による臨床化学分析 定量法各論

6.リン脂質

著者: 野間昭夫1

所属機関: 1東京都養育院付属病院研究検査部

ページ範囲:P.1314 - P.1321

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はじめに
 他の血清脂質に比し,リン脂質は測定法の煩雑さと,その臨床的意義が不明な点が多いことより立ち遅れているが,近年酵素的測定法の開発により急速に普及しつつあり,データの集積によってその臨床的意義の解明も進んでくるであろう.
 リン脂質は脂肪酸,グリセロール,リン酸残基及び含窒素化合物(コリン,エタノールアミン,セリン,その他)などより成るグリセロリン脂質と,スフィンゴシンまたはその類似物質に脂肪酸が結合し,更にリン酸残基及び種々の物質が結合したスフィンゴリン脂質に大別され,その構造は図のごとくである.リン脂質は脂肪酸などの非極性(疎水性)部分とリン酸基及び塩基の極性(親水性)部分を有しており,この構造上の特徴がリン脂質の機能及び生体内での役割に大きく関与している.生体内のリン脂質はほとんどすべてタンパクと結合して存在し,特に重要なことは,コレステロールとともにタンパクと結合して生体内の種々の膜構造(細胞膜,ミトコンドリア,ミクロソームなど)を形成している.この際,リン脂質中の脂肪酸の飽和度が膜の透過性や流動性に関与する.また細胞内小器官の特異的な機能とも密接な関連を持ち,代謝物質の細胞内外への輸送,膜酵素の活性発現などに関係している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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