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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻13号

1978年12月発行

文献概要

新しい末梢脈管機能検査法・6

リンパ循環不全と浮腫

著者: 関清1

所属機関: 1東邦大学・第3内科(大橋病院)

ページ範囲:P.1560 - P.1563

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I.リンパ循環不全とは
 浮腫とは組織間隙内に多量の水分が貯留した状態を言うが,前世紀にはもっぱらリンパ循環の障害によるものと考えられていた.組織液,リンパ液の生成には,そのころは濾過説(Rudwig1),1861),分泌説(Heidenhain2),1891),浸出説(Cohnstein3),1895)などいろいろあったが,いずれも一般に承認されるに至らず,とにかくリンパ循環が悪いから組織内に水分がたまるものと考えられていた.ところがStarling4)(1895/6)以後は,組織液は血液から濾過されて生じたものであり,正常では濾過と再吸収とのバランスがとれており,その平衡が破れて前者が後者を上回ると浮腫が発生する,すなわち大部分の浮腫(リンパ浮腫以外の)はリンパ循環と無関係に発生することになった.したがって,多くの学者は浮腫におけるリンパ循環の意義を忘れたのである.
 しかし,毛細血管から組織内に出るものは水ばかりでなく,ガス,いろいろな溶質のほかタンパクもある.そしてこのタンパクは動物では(人間での証明は目下のところ困難であるが),組織内から再び毛細血管内に逆移行することはほとんどなく,大部分が毛細リンパ管内に排除され,リンパ液となり,静脈内に再び還流されることが確かめられている.このリンパ流は血流に比べれば確かに少ないが,それでも1昼夜に2〜4lもあり,その運搬するタンパク量も80〜200gと,ともに相当な量である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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