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酵素による脂質の定量
著者: 川出真坂1
所属機関: 1岐阜大学,中央検査部
ページ範囲:P.479 - P.486
文献購入ページに移動 脂質は水に不溶の物質であるが,生体内ではタンパクと結合して巨大分子を形成し,体液中に溶存する.ゆえにその定量には,有機溶媒による抽出,精製の操作を経て測定するのが従来の常道であった.ところが最近酵素を試薬として脂質を定量する方法が開発され,トリグリセライド,コレステロール,更にリン脂質の定量にも酵素法が出現した.酵素法の利点はその簡便性にあり,血清と単一試薬を混ぜるだけで脂質の定量ができるのである.かくて有機溶媒による抽出,精製また強酸の使用などは不必要となった.多数検体を処理する日常検査にとり,これは一大福音であることは何人も否定できないであろう.ゆえに酵素法は急速に普及し,各試薬メーカーは競ってその製品化を急ぎ,コレステロールについては現在10種以上の試薬キットが市販されている.本稿は酵素法の技術解説を依頼されたものであるが,酵素法そのものの技術は極めて簡便で特別の解説を要しない.しかしこの簡便な手技の背後に潜む問題点は,必ずしも簡単なものではない.ゆえに本稿では測定値を左右する要因に重点をおいて解説することにより責を果たさせていただきたい.
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