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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻6号

1978年06月発行

文献概要

総説

細菌感染症の迅速診断法

著者: 三輪谷俊夫1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所・細菌血清学

ページ範囲:P.609 - P.614

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 細菌感染症の診断には細菌培養検査は欠くことができないが,現状では臨床家が利用しうる最少限度の情報を検査室から入手するまでには,早くても48時間を必要とする.極端な場合,検査成績を入手したときには患者は既に治癒していたり,死の転帰をとっていることもある.機械化,自動化の導入による臨床生化学検査などの目覚ましい進歩とは全く対称的である.細菌感染症の診断が十年一日のごとく何日もかかる培養検査に頼らざるを得ない理由の根底には,次のような根強い考え方がある.
 ヒトは有菌的な環境下で生存しており,感染症の診断に際しては,ヒトを取り囲む多種多様な微生物群の中から限られた起病菌のみを選別しなければならない.しかも検査の対象物が単なる物質ではなく,細菌という生きた微生物であり,その菌の性格を知るためには,ある程度以上まで菌の増殖が必要である.このため,より詳しく菌の性格を知ろうとすればするほど,より正確に菌を同定しようとすればするほど,時間がかかる.これが細菌培養検査の宿命なのである.筆者も当然このような考え方をしていたが,その反面"臨床に直結してもっと短時間内に,起病菌の種類や適切な治療方針を決める方法はないものであろうか"と考えあぐんでいたことも事実である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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