文献詳細
文献概要
総説
細菌感染症の迅速診断法
著者: 三輪谷俊夫1
所属機関: 1大阪大学微生物病研究所・細菌血清学
ページ範囲:P.609 - P.614
文献購入ページに移動ヒトは有菌的な環境下で生存しており,感染症の診断に際しては,ヒトを取り囲む多種多様な微生物群の中から限られた起病菌のみを選別しなければならない.しかも検査の対象物が単なる物質ではなく,細菌という生きた微生物であり,その菌の性格を知るためには,ある程度以上まで菌の増殖が必要である.このため,より詳しく菌の性格を知ろうとすればするほど,より正確に菌を同定しようとすればするほど,時間がかかる.これが細菌培養検査の宿命なのである.筆者も当然このような考え方をしていたが,その反面"臨床に直結してもっと短時間内に,起病菌の種類や適切な治療方針を決める方法はないものであろうか"と考えあぐんでいたことも事実である.
掲載誌情報