icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻7号

1978年07月発行

文献概要

カラーグラフ

解説

著者: 河野均也1

所属機関: 1日大・臨床病理

ページ範囲:P.702 - P.702

文献購入ページに移動
 骨髄腫(myeloma)は免疫グロブリンを産生する形質細胞系細胞の異常な腫瘍性増殖を,主として骨髄中に多発性に認めるところから,従来より多発性骨髄腫(mul-tiple myeloma)の名称が広く用いられてきた.しかしながら最近ではリンパ節や扁桃,消化管あるいは気道粘膜などのリンパ装置をはじめ,髄外性に形質細胞系細胞の増殖を認めたり,あるいは形質細胞性白血病と言われるように,末梢血液中にまで形質細胞系細胞の出現を認める症例も数多く報告されているところから,骨髄腫というよりも形質細胞腫(plasmocytoma)の名称のほうがより適切であると思われる.また更に形質細胞の由来をたどれば,Bリンパ球から分化・成熟することがほほ確実視されている.すなわち,形質細胞腫は原発性マクログロブリン血症(Waldenström)を含めて,免疫グロブリンを産生するまでに分化したBリンパ球系細胞の腫瘍性増殖であるという見方も成り立つ,したがって骨髄穿刺材料あるいは髄外増殖巣の細胞形態学的所見が極めて重要な診断根拠となることは言うまでもない.
 図1の成熟した正常の形質細胞は非常に特徴的な細胞形態を示す.すなわち,直径9〜20μmの円形ないしは卵円形の細胞で,強く好塩基性に染まる比較的豊富な細胞質を持ち,核は偏在し,核の一側には明るく抜けて見えるゴルジ野からなる核周明庭が認められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?