文献詳細
文献概要
Ex Laboratorio Clinico・19
私どものフェリチン研究
著者: 森亘1
所属機関: 1東京大学・第1病理
ページ範囲:P.747 - P.752
文献購入ページに移動はじめに
ロンドンから東北に向かって汽車でおよそ2時間,ケンブリッジの町があった.当時の人口約十余万,町全体が大学のようなもので,至るところに古風な建物,そして,それぞれに由緒あるカレッジの数も多い.発祥は日本の歴史で言えば平家の時代とか.長い変遷を偲ばせる古めかしさと,その間に散見される殊の外の近代性がうまく調和している.並び称される学都,オックスフォードは町の経済的繁栄を求めて企業を誘致したのに対し,ここは頑としてそれを避けてきたという.その結果であろうか,前者がしだいにすすけていくのに対して後者はいつまでも緑である.ケンブリッジに一度学んだ人間は,その学問に対する郷愁とともにその町に対する愛着を忘れることができない.
ロンドンから東北に向かって汽車でおよそ2時間,ケンブリッジの町があった.当時の人口約十余万,町全体が大学のようなもので,至るところに古風な建物,そして,それぞれに由緒あるカレッジの数も多い.発祥は日本の歴史で言えば平家の時代とか.長い変遷を偲ばせる古めかしさと,その間に散見される殊の外の近代性がうまく調和している.並び称される学都,オックスフォードは町の経済的繁栄を求めて企業を誘致したのに対し,ここは頑としてそれを避けてきたという.その結果であろうか,前者がしだいにすすけていくのに対して後者はいつまでも緑である.ケンブリッジに一度学んだ人間は,その学問に対する郷愁とともにその町に対する愛着を忘れることができない.
掲載誌情報