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Ex Laboratorio Clinico・34
Fujiwara trait
著者: 林久智1
所属機関: 1岡山大学第2内科
ページ範囲:P.1048 - P.1052
文献購入ページに移動 カリクレインーキニン系が血液凝固系へ関与することを示唆する報告は,1965年Hathawayらの既知凝固因子はすべて正常ながら,活性部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長を示す新しい凝固異常症(Fletcher因子欠乏症)の報告に始まる.やがて1973年に血漿プレカリクレインの分離精製をしていたWuepperが,ある日偶然に精製プレカリクレインをFletcher因子欠乏症の血漿に加えることにより,意外にもPTTが正常化することを認め,この未知因子であるFletcher因子の本態は血漿プレカリクレインにほかならないことが確認された.1974年には,Saitoらにより第XII因子及びFletcher因子欠乏症と同様に出血症状を認めず,接触因子系の異常に起因する凝血異常と同時に内因性線溶系やキニン生成に異常を示す未知の凝血異常症,すなわちFitzgerald因子欠乏症が報告された.
この未知因子の本態もやがて高分子キニノゲンであることが判明し,血液凝固,線溶,キニン系の各反応間には密接な関係の存在することが知られてきた.これら先天性凝固異常症の発見をきっかけに血液凝固線溶機序の解明が進み,特に血液凝固の接触系は近年,最も急速な進歩を認めた領域である.
この未知因子の本態もやがて高分子キニノゲンであることが判明し,血液凝固,線溶,キニン系の各反応間には密接な関係の存在することが知られてきた.これら先天性凝固異常症の発見をきっかけに血液凝固線溶機序の解明が進み,特に血液凝固の接触系は近年,最も急速な進歩を認めた領域である.
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