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文献詳細

雑誌文献

臨床検査23巻11号

1979年11月発行

文献概要

特集 免疫学的検査の進歩 Ⅰ.免疫不全

組織学的検査—T及びB細胞機能不全による免疫不全症とリンパ組織の変化

著者: 畠山茂1

所属機関: 1東京医科歯科大学・病理

ページ範囲:P.1098 - P.1100

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 免疫に関与する臓器は,リンパ節,脾,扁桃腺,消化管壁のリンパ組織など全身に散在するリンパ組織と,胸腺やファブリキウス嚢(FB)などの特別な組織から成っている.後者を一次ないし中枢リンパ臓器などと呼び,前者を二次ないし末梢リンパ臓器と呼んでいる.これらの名称は,一次リンパ臓器が,二次のそれらが作られる前に既に胎生期に活動を開始し,卵黄嚢(yolk sack)から遊走してくる未熟なリンパ球のために分化発育する環境を提供し,他方二次リンパ臓器は胸腺やFBで育ち分化したリンパ球を受容し,免疫応答のための場所を準備するといった,免疫組織の個体発生の状況に基づいている.
 現在,リンパ球は機能的にTとB細胞に分けられ,免疫反応はTとBの二重システムを軸として動いている.中枢リンパ臓器もT細胞には胸腺,B細胞にはFBが対応しており,それらの臓器を出産後に取り除くことによって,後で動物にそれぞれのリンパ球の機能欠落症状をもたらすことができる.FBはもともと鳥類で発見されたもので哺乳類では全くの相同の器官は存在しない.マウスなどでは胎生期には肝が,生後は骨髄組織そのものがFBに相当すると推測されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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