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文献詳細

雑誌文献

臨床検査23巻11号

1979年11月発行

文献概要

特集 免疫学的検査の進歩 Ⅱ.感染症

トキソプラズマ感染症

著者: 亀井喜世子1

所属機関: 1帝京大学・寄生虫学

ページ範囲:P.1166 - P.1168

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 トキソプラズマ症の診断は臨床所見,病理,原虫検出,血清試験の諸結果の総合診断によってなされる.血清試験として現在日本で行われているのは色素試験(Dye test),間接赤血球凝集試験(IHA),ラテックス凝集試験,螢光抗体法などであるが,検査結果について共通して言えることは,トキソプラズマによる不顕性感染者が多いために,陰性者は潜伏期のものを除いてトキソプラズマ感染を除外しうるとしても,陽性者が不顕性感染者ではなく患者であるとの有力な根拠となるのは,①8倍以上の抗体価の上昇の見られるとき(この場合は2種以上の血清反応を行うことが望ましい),②感染初期抗体であるIgM抗体が証明されるとき,③生検材料より原虫の証明・分離がされるときである.
 現在日本では種々の検査法が行われており,検査機関が異なると結果が違うというように,抗体価同士を比較するのは不可能で,仮に同一人物の経時的抗体価の変動を知ろうとするときは,なるべく同一検査機関に2〜3週間隔の血清を同時に依頼するのが望ましい.なお感染初期抗体のIgM抗体は螢光抗体法あるいは,1978年著者らが開発した黄色ブドウ球菌菌体で,血清中のIgG抗体を吸着した後の残存抗体をラテックス凝集試験で調べることにより証明できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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