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特集 免疫学的検査の進歩 Ⅳ.同種免疫
血液型とその臨床的意義
著者: 山崎順啓1
所属機関: 1慈恵会医科大学・輸血部
ページ範囲:P.1248 - P.1253
文献購入ページに移動 血液型の臨床的意義(重要性)は輸血療法,組織(臓器)移植,母児間同種免疫,更に自己免疫性血液疾患の診断治療などと密接な関連をもって存在している.多くの血液型の中でABO式,Rh式,更にHLA式などは現在最も注目されており,赤血球中心の輸血や免疫性溶血性疾患との関連性が論じられるにとどまらず,近年急速に普及しつつある成分や分画の輸血の際にも,決してその重要性は見逃されるわけにはいかない.例えば濃縮血小板や顆粒球の輸血においても,供血者の赤血球やその他の成分が含まれており,これらは潜在的に免疫性を発揮する.また血漿から分離精製されたいかなる製剤と言えども,抗A,抗Bあるいは抗Dが含まれている可能性があり,これらが受血者の血球を溶血させる恐れは十分考えられるのである.通常臨床的に行われる輸血の場合,ABO式とRh式のDが最も重要であることはもちろんだが,赤血球の持っている他の型(物質)の存在も時には特定の患者にとって重要な意義をもたらす.
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