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文献詳細

雑誌文献

臨床検査23巻11号

1979年11月発行

文献概要

特集 免疫学的検査の進歩 Ⅳ.同種免疫

精子免疫

著者: 礒島晋三1

所属機関: 1兵庫医科大学・産婦人科

ページ範囲:P.1260 - P.1262

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 睾丸または精子を雌動物に注射すると,精子に対する毒性物質(抗体)が産生されることは,既に1889年Landsteinerによって発見されていたが,筆者ら1)はモルモット睾丸とFreund's adjuvantを用いることによって,雌モルモットに精子に対する抗体のみでなく不妊が発症することを明らかにした.臨床的には,男性不妊が患者血中精子凝集素と関係があるとWilson及びRümkeは報告したが,婦人に関しては1964年FranklinとDukes2)が,原因不明不妊婦人の血清中に精子凝集素が高率に発見されると報告して以来,不妊と抗精子抗体が注目されるようになった.
筆者ら3)は,ヒト精子は非特異的に凝集しやすく,抗体による凝集と区別がつきにくいので精子凝集反応を避け,補体依存性で抗体を検出するのに適している精子不動化試験を考案し,不妊婦人を調べたところ,原因不明不妊婦人の一部にのみ精子不動化陽性がみられ,未婚婦人や妊孕性のある婦人はすべて陰性であることを見いだして以来,抗精子抗体の証明法として広く用いられようになった.この方法は定性的検査で,抗体量を定量的に測定するには適していないため,正確な抗体量を決めるために定量的精子不動化試験を発表した.また頸管粘液中の抗体(精子不動化因子)を測定するには検体が少量であるため,この目的に対応する微量精子不動化試験法も考案した

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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