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文献詳細

雑誌文献

臨床検査23巻2号

1979年02月発行

文献概要

今月の主題 脂質 技術解説

血中胆汁酸の測定法

著者: 眞重文子1

所属機関: 1東京大学病院中央検査部生化学

ページ範囲:P.129 - P.136

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 胆汁酸は肝細胞においてのみ特異的にコレステロールから生成され,主にグリシンとタウリン,その一部は硫酸,グルクロン酸と抱合された後胆汁中に排泄される.排泄された胆汁酸のほとんどは(約97%)回腸末端から吸収され,門脈を経て肝にもどり腸肝循環を行っている.この腸肝循環は極めて閉鎖的なので,正常人においては胆汁酸はほとんど大循環に漏れず,血液中には微量にしか存在しない.
 例えば胆汁酸濃度は胆汁では極めて高く(約5g/dl),糞便中にもかなり排泄されているが(約500mg/日),血液中では1μg/ml程度で,尿中にもわずかしか排泄されていない(0.4mg以下/日).しかし肝疾患時には,肝細胞による摂取を逃がれて大循環の中に胆汁酸が逸脱して増加し,ビリルビンよりも鋭敏に肝傷害を反映するので1〜5),血中胆汁酸測定は有用な肝機能検査法として注目されつつある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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