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"アブソーブG"使用による風疹IgM,IgA抗体検出について
著者: 前田勝1 林徳夫1 中原節1
所属機関: 1鹿児島市衛生検査センター
ページ範囲:P.189 - P.191
文献購入ページに移動風疹の血清学的診断は,急性期,回復期による対血清の風疹赤血球凝集抑制(HI)抗体価の有意上昇によって決定されるのが基本的方法である.しかし通常対血清が得られることは少なく,感染時期の不明な単一血清による検査が要求される.特に妊婦の風疹抗体価検査では,検出された抗体が妊娠中感染によるものか,妊娠前過去の感染によるものかの判定が重要な問題となる.風疹感染では,風疹IgG抗体に対するIgM抗体の優位な時期は風疹の発疹出現後数日と言われており,またIgM,IgA抗体がほぼ同じ経過をとることから,IgG吸収によるIgM (IgAを含む)抗体の証明が要求される.
風疹IgM抗体の検出方法として,ショ糖密度勾配遠心法,螢光抗体法,ゲル濾過法などがあるが日常簡単に行われる方法ではない.近年,黄色ブドウ球菌の菌体成分のprotein Aは,ヒト血清中IgG (G1,G2,G4)分子のFcフラグメントに特異的に結合し不溶物を形成することが知られ,黄色ブドウ球菌の菌体で血清中のIgGを吸収し,残存する風疹IgM及びIgA抗体を極めて短時間に容易に検出する吸収試薬"アブソーブG"が化学及血清療法研究所より発売されたので,我々もこの方法を実施したところ,検査室レベルで日常検査として行いうる方法であると思われる成績を得たので報告する.
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