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文献詳細

雑誌文献

臨床検査23巻3号

1979年03月発行

文献概要

研究

新しい肝機能検査としての血清中総胆汁酸測定—第2報内因性胆汁酸負荷試験

著者: 遠藤了一1 鹿野敏夫1 清水暉雄1 石塚昭信1 山根示子1 土屋敏子1 太田裕彦2 佐藤源一郎2 上野幸久2

所属機関: 1三宿病院研究検査課 2三宿病院内科

ページ範囲:P.273 - P.277

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まえおき
 胆汁酸の生成と胆汁中への分泌,ならびに腸肝循環により再び肝にもどった胆汁酸の処理は肝細胞のみが営む特異的な機能である1).したがって,肝疾患において胆汁酸の取り込みと生成あるいは分泌が障害され,胆道疾患では胆汁の腸管への排出が障害されるために血清中の胆汁酸は上昇する.我々の成績でも急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変をはじめ,各種の肝疾患において血清中胆汁酸は上昇し,その肝病態をよく反映していた.第1報に報告したごとく,肝硬変では空腹時血清中胆汁酸がその代償性期でも平均30μMと高値を示す例が多い.
 しかし,完成された肝硬変であっても一般の肝機能検査(GOT,GPT,TTT,ZST,ALP,ChE,血清ビリルビン,アルブミン)が正常域を示すような機能的によく代償された非活動性の状態では,空腹時血清中総胆汁酸もしばしば正常値(10μM以下)を示す.これらの症例について空腹時に採血後,卵黄2個,あるいはダイアン顆粒13g,セルレインなどの胆嚢収縮剤を投与し,一定間隔で負荷後3時間まで繰り返し採血し,血清中胆汁酸濃度を求める内因性胆汁酸負荷試験を行うと,その多くの症例で負荷後血清中胆汁酸は著明に上昇する.かつ慢性肝炎と肝硬変ではその上昇程度に差が認められた.肝疾患におけるその病態と内因性,外因性胆汁酸負荷試験との関係については多くの報告があるが,必ずしも一定の見解は得られていない2〜7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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