文献詳細
文献概要
今月の主題 生理検査・1 総説
肺音の新しい計測技術
著者: 工藤翔二1 渋谷惇夫2
所属機関: 1東京大学第3内科 2工業技術院繊維高分子材料研究所
ページ範囲:P.457 - P.463
文献購入ページに移動 19世紀初頭,近代医学の祖と言われるフランスのLaennecによって聴診器が発明され,肺聴診学の基礎が築かれて以来,今日まで150年余りの間,臨床家は肺音を生体情報の一つとして呼吸器疾患の診断に利用してきた.しかし今日,聴診学のもう一つの対象である心音の研究に比べると,肺音の研究ははるかに立ち遅れていると言って過言ではない.その理由として,今世紀に始まるX線診断学が呼吸器疾患の非侵襲性の診断手段として余りにも有用であったことが挙げられよう.しかし第2の理由として,心音図に比肩するような有効な肺音計測法が開発されなかったために,肺音が聴覚に頼った主観的な情報の域から出ることができなかったことも無視しえない.
近年,音響科学技術の進歩に伴って肺音を計測し,客観的な生体情報として臨床により役立てようとする試みが内外で行われるようになってきた1,2,3).1976年以来毎年アメリカで国際肺音カンファランスがもたれており,1977年には国際肺音学会が設立された.本稿ではこれらの動向をふまえ肺音計測の技術的内容について,我々の成績4,5)を中心に概説する.
近年,音響科学技術の進歩に伴って肺音を計測し,客観的な生体情報として臨床により役立てようとする試みが内外で行われるようになってきた1,2,3).1976年以来毎年アメリカで国際肺音カンファランスがもたれており,1977年には国際肺音学会が設立された.本稿ではこれらの動向をふまえ肺音計測の技術的内容について,我々の成績4,5)を中心に概説する.
掲載誌情報