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研究
フィブリン染色のためのPTAH染色法の検討—DICにおけるフィブリン血栓の染色性を中心として
著者: 長屋清三1 若林隆1
所属機関: 1名古屋市立大学第2病理
ページ範囲:P.495 - P.498
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グリア線維染色法としてMalloryにより開発されたPTAH (リンタングステン酸ヘマトキシリン)染色法は,フィブリンの染色法としても現在広く用いられている1).生検材料,剖検材料を通じて臨床病理に従事する我々にとって,フィブリンの染色は,近年臨床的に注目されている血管内凝固症候群(disseminated intravas-cular coagulation, DIC)の診断のためいっそうその重要性を増している.
DICの病理形態学的証明は,新鮮壊死・出血巣の有無とともに,フィブリン血栓を中心とした血栓の存在である.しかし,従来のPTAH染色法では赤血球の共染,DICに見られるフィブリン血栓の難染色性2)など染色上の問題が幾つか残されており,日常の診断に困難を伴う場合が多い.血栓は通常の染色法を用いての光学顕微鏡による方法とともに,螢光抗体法3),電子顕微鏡4)の併用により検出率を増すことができるが,日常の検索においてはやはり制約が大きく,ルーチンの方法での検出率の上昇が急務と考えられる.
グリア線維染色法としてMalloryにより開発されたPTAH (リンタングステン酸ヘマトキシリン)染色法は,フィブリンの染色法としても現在広く用いられている1).生検材料,剖検材料を通じて臨床病理に従事する我々にとって,フィブリンの染色は,近年臨床的に注目されている血管内凝固症候群(disseminated intravas-cular coagulation, DIC)の診断のためいっそうその重要性を増している.
DICの病理形態学的証明は,新鮮壊死・出血巣の有無とともに,フィブリン血栓を中心とした血栓の存在である.しかし,従来のPTAH染色法では赤血球の共染,DICに見られるフィブリン血栓の難染色性2)など染色上の問題が幾つか残されており,日常の診断に困難を伴う場合が多い.血栓は通常の染色法を用いての光学顕微鏡による方法とともに,螢光抗体法3),電子顕微鏡4)の併用により検出率を増すことができるが,日常の検索においてはやはり制約が大きく,ルーチンの方法での検出率の上昇が急務と考えられる.
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