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文献概要
今月の主題 細菌性食中毒 総説
細菌性食中毒—最近の趨勢
著者: 善養寺浩1
所属機関: 1杏林大学・保健学部微生物免疫学
ページ範囲:P.785 - P.790
文献購入ページに移動 厚生省の集計によれば,図1に1977年までの5年間の病因細菌別食中毒患者数を示したように,起因菌の順位はいぜん腸炎ビブリオを筆頭として,ブドウ球菌,サルモネラがそれに続き,細菌性食中毒全体の81.6%がこの3菌種に起因している.腸炎ビブリオの発見とその食中毒が統計に挙がって以来,このパターンはほとんど変わっていない.
しかしサルモネラの保菌者—その多くはなんらかの腸炎症状を呈していたものであるが—の例をみても最近2年間の保菌者の率は増菌を行わない単純検査でも0.2%を越えていて,保菌者・患者の数は250万人余,少なくみても顕性患者は100万人に近いと言えるだろう.集計は届けられた集団発生に限られているから散発は含まれないためもあって,とても実態を正確に示しているとは言えない.同様に,その他の起因菌についても全く実態とは違っていると言ってよいと思う.
しかしサルモネラの保菌者—その多くはなんらかの腸炎症状を呈していたものであるが—の例をみても最近2年間の保菌者の率は増菌を行わない単純検査でも0.2%を越えていて,保菌者・患者の数は250万人余,少なくみても顕性患者は100万人に近いと言えるだろう.集計は届けられた集団発生に限られているから散発は含まれないためもあって,とても実態を正確に示しているとは言えない.同様に,その他の起因菌についても全く実態とは違っていると言ってよいと思う.
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