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研究
末梢血液検査の正常値及び個人の生理的変動について
著者: 設楽正登1 吉元加代子1 篠根和子1 梅津静子1 近藤由紀江1 西川美智子1 林康之2
所属機関: 1立正佼成会附属佼成病院臨床検査部 2順天堂大学医学部臨床病理学教室
ページ範囲:P.91 - P.94
文献購入ページに移動現在広く使用されている末梢血液検査成績の正常値は,1957年全国規模で実施された小宮ら1)の報告に基づくものである.以来,方法論においては,メランジュールによる視算法から粒度分布を電気的に検出測定する自動血球計数器へと替わり,採血も耳朶,指頭から静脈血を用いるのが一般的となった.また抗凝固剤も,二重シュウ酸塩からEDTA-2K-ヘパリン合剤に替わり,その度ごとに従来の計数法に比較してその影響の有無を論じられてきたことは周知のところである.
一方,これらの報告による正常値の多くは条件を整えた集団の平均値±2標準偏差で表しており,健康人の個人変動率にまで言及したものは少ない.また集団の1回検査測定における正常値範囲が,固有値±個人変動幅の累積から成り立っていることも明らかなところである.それで我々は個人の正常値を求め,その健康時における変動率を明らかにし,いわゆる正常値の臨床的応用をより精細にすることのできる資料を作ることを目的とし,次の実験を行った.すなわち,特定集団を対象とし約2年間に7回の末梢血液検査を実施し,個人差,個人変動率について解析したのでその成績を報告する.
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