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Ex Laboratorio Clinico・46
遺伝性QT延長症候群
著者: 橋場邦武1 片山知之2
所属機関: 1長崎大学・第3内科 2長崎市立市民病院診療部
ページ範囲:P.1171 - P.1176
文献購入ページに移動心疾患による急死は急性心筋梗塞,原発性心筋症,弁膜疾患など比較的重篤な疾患に伴うことはもちろんであるが,若年で虚血性心疾患などもない,一見健康な人に突然死をみることがある.このように学童や若年者の突然死を来すものの一つとして本症候群は重要である.
遺伝性QT延長症候群とは,失神発作や急死が家族性または遺伝性に生ずる疾患で,その発作がないときの心電図に常にQT延長が認められ,これに関連して起こる心室細動などの重篤な心室性不整脈によって失神を来す症候群である.遺伝形式と先天性聾唖の有無によって,二つの異なった症候群のあることが知られている.その一つはJervell and Lange-Nielsen症候群で,常染色体性劣性遺伝の形式を示し,先天性聾唖を伴うことが特徴的である.他方,RomanO-Ward症候群と呼ばれるものは常染色体性優性遺伝を示し,先天性聾唖を伴わないものである.両者に共通な特徴はQTの延長と失神発作,場合によってはそれによる急死の3点であり,これらが遺伝的に生ずるので,合わせて遺伝的QT延長症候群と呼ばれている.
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