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研究
健常人の血清アポGOT濃度—特にその加齢及び妊娠による生理的変動について
著者: 山道宏1 田中亨1 田村周二1 老田達雄1 三木寛二1 檀芳之1 北添直行1 福田勝宏1 大川二朗2 水田亘1
所属機関: 1神戸市立中央市民病院臨床病理科 2兵庫県立病院がんセンター検査部
ページ範囲:P.1197 - P.1200
文献購入ページに移動GOT活性測定に当たって非活性型アポGOTにピリドキサールリン酸(以下PALP)を添加してホロ化し,より正確に血清GOTを測定することが1977年IFCCによって勧告されて以来1),PALP添加の是非について我が国でも活発に議論がなされている2).我々も既にPALP添加の至適条件を検討し,各種ピリドキサール誘導体を添加した際の活性化から求めたアポGOTを,各種疾患について測定して報告した3).PALP添加により細胞破壊によって血中に放出された非活性型アポGOTが測定され,ホロ酵素の安定化が得られるが,反応測定系が複雑化すること,これまで長年にわたって用いられてきた診断のための参照値を変更する難しさと,アポ酵素を含めた総活性測定の臨床的有用性が確立されていないことなどから,我が国ではいまだPALP添加は一般化していない.PALP添加の臨床的評価は勧告案にも明らかでなく,現在ヨーロッパの各施設や米国のCenter for Disease Controlを中心にデータの蓄積が行われている4).
今回我々は主に健常人血清のPALPによる活性化率及び,アポGOT濃度の加齢と妊娠による生理的変動について調べた.
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