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逆受身赤血球凝集反応法による血清α-フェトプロテイン測定の臨床応用
著者: 兒島淳之介1 柏木徹1 秋山雅彦1 杉浦誠子1
所属機関: 1大阪府立成人病センター
ページ範囲:P.1205 - P.1208
文献購入ページに移動α-フェトプロテイン(AFP)は胎児血中に存在するが,生後約1週で消失し1),肝細胞癌患者では癌細胞内で産生される胎児性蛋白である2).1963年Abelevら3)がマウス肝癌組織で,翌年Tatarinov4)が肝癌患者血清中に見いだしてから注目を集め,現在では肝細胞癌の早期診断及び治療効果の判定に最も役立つ検査法と考えられている5,6).
従来血清AFPの検出には二重拡散法(double diffu-sion),電気免疫拡散法(immunoelectrodiffusion),一元放射状免疫拡散法(single radial immunodiffusion)などが用いられ,肝細胞癌患者での血清AFP陽性率は30〜70%と言われていたが,その後ラジオイムノアッセイ(RIA)が用いられるようになり,感度が200〜1,000倍上昇した結果,肝細胞癌患者血清AFPの陽性率も90〜95%と高率になった7〜9).一方感度が上昇した結果,急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変など肝癌以外の患者血清中にも少量のAFPの存在することが明らかとなり,特異性はある程度低下した,しかし肝癌以外の場合には血清AFP値の上昇が多くは一過性であるため,肝癌との鑑別は継時的測定により可能であるので,RIAによる血清AFP測定が肝細胞癌の診断に有用であることには変わりはない.
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