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文献概要
今月の主題 薬剤の検査 技術解説
ジギタリス剤の血中濃度
著者: 田川隆介1 五島雄一郎1
所属機関: 1東海大学第1内科
ページ範囲:P.1489 - P.1496
文献購入ページに移動 ジギタリスは古くから民間薬として用いられていたが,1785年,William Withering1)が,浮腫患者に使用しその劇的効果が報告されて以来今日まで約200年の間,うっ血性心不全,上室性頻拍性不整脈などの治療に必要不可欠な薬物として使用され,心疾患治療薬の中で王座の地位を占めてきたと言える.しかしこのような長年の使用経験にもかかわらず,現在においてなおジギタリス剤の適切な投与法は確立されるに至っていない.その理由としては,この薬剤の持つ治療域と中毒域の差が非常に狭く,また個体による反応の差も大きく,特に高齢者,腎機能障害を持つ患者,低カリウム血症を有する患者などでは,平常使用される投与量にてしばしば中毒を起こしうること,加えて中毒症状である不整脈が,本来の心疾患に由来するものと区別し難いため,中毒の診断が容易でないことなどが挙げられる.
このようなことより,血中ジギタリス濃度の測定は早くから望まれ,bioassay法2)や86Rb法3)など,種々の検査法が考案されたが,極めて微量な濃度測定のため精度に乏しく,また複雑な操作を要するため日常検査には適さないものであった.しかし近年目覚ましい科学の進歩により生まれたラジオイムノアッセイ(RIA)法の導入により,現在我々は比較的簡易にかつ十分な精度をもって,血中ジギタリス剤の濃度を測定しうるに至っている.
このようなことより,血中ジギタリス濃度の測定は早くから望まれ,bioassay法2)や86Rb法3)など,種々の検査法が考案されたが,極めて微量な濃度測定のため精度に乏しく,また複雑な操作を要するため日常検査には適さないものであった.しかし近年目覚ましい科学の進歩により生まれたラジオイムノアッセイ(RIA)法の導入により,現在我々は比較的簡易にかつ十分な精度をもって,血中ジギタリス剤の濃度を測定しうるに至っている.
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