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文献詳細

雑誌文献

臨床検査24巻12号

1980年11月発行

文献概要

今月の主題 薬剤の検査 技術解説

ジギタリス剤の血中濃度

著者: 田川隆介1 五島雄一郎1

所属機関: 1東海大学第1内科

ページ範囲:P.1489 - P.1496

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 ジギタリスは古くから民間薬として用いられていたが,1785年,William Withering1)が,浮腫患者に使用しその劇的効果が報告されて以来今日まで約200年の間,うっ血性心不全,上室性頻拍性不整脈などの治療に必要不可欠な薬物として使用され,心疾患治療薬の中で王座の地位を占めてきたと言える.しかしこのような長年の使用経験にもかかわらず,現在においてなおジギタリス剤の適切な投与法は確立されるに至っていない.その理由としては,この薬剤の持つ治療域と中毒域の差が非常に狭く,また個体による反応の差も大きく,特に高齢者,腎機能障害を持つ患者,低カリウム血症を有する患者などでは,平常使用される投与量にてしばしば中毒を起こしうること,加えて中毒症状である不整脈が,本来の心疾患に由来するものと区別し難いため,中毒の診断が容易でないことなどが挙げられる.
 このようなことより,血中ジギタリス濃度の測定は早くから望まれ,bioassay法2)86Rb法3)など,種々の検査法が考案されたが,極めて微量な濃度測定のため精度に乏しく,また複雑な操作を要するため日常検査には適さないものであった.しかし近年目覚ましい科学の進歩により生まれたラジオイムノアッセイ(RIA)法の導入により,現在我々は比較的簡易にかつ十分な精度をもって,血中ジギタリス剤の濃度を測定しうるに至っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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