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文献概要
負荷機能検査・11
尿濃縮試験
著者: 中山文義12 越川昭三1
所属機関: 1昭和大学内科 2藤が丘病院
ページ範囲:P.1533 - P.1539
文献購入ページに移動尿の比重を測定することは既に19世紀から行われており,しかも1820年代に既にBrightは慢性腎疾患患者の尿比重が健常者に比して低いことを認めている1).20世紀に入ってAlbarran (1903)2)は片側性腎疾患の尿管尿を採取し,病側腎からの尿は尿中の溶質濃度や比重の変動の幅が小さいことを見いだした.しかしAlbarranの方法はむしろ水負荷が中心であり,腎機能検査法として尿比重を意識しているわけではなかった.
濃縮力と腎機能の関係を理論的に研究したのはKora-nyi (1897)であった3).Koranyiによれば腎の最も本質的な機能は浸透圧調節である.物質代謝によって大分子量物質が分解して小分子量物質を生じ,これが体液の浸透圧を高める.この浸透圧を調節するために尿中に浸透圧物質を排泄するのが腎の基本的な役割である.そして実際に尿の浸透圧を氷点降下度によって測定し,腎疾患では尿浸透圧が低下することを明らかにした.Hyposth-enurieという言葉はKoranyiの創作であるが,Sthenosはstrengthを意味するギリシャ語であり,腎の力が低下したときの尿という意味である.
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