文献詳細
文献概要
研究
多項目血球計数器(Coulter-SR,TOA-720とTOA-710)による測定値間の差異に関する研究—特にHt,MCV,MCHCについて
著者: 佐々木正照1 木村寿之1 小川祥子1 黒川一郎1
所属機関: 1札幌医科大学病院中央検査部
ページ範囲:P.1559 - P.1564
文献購入ページに移動近年,多項目血球計数器は広く使われており,それらは使用しやすいこと,各機器専用の精度管理物質が恒常的に供給され良好な再現性が示されることと相俣って,ますます広く普及していく傾向にあると思われる.しかし各機種間で計数値,あるいは赤血球恒数値が,特に特定な疾病によっては一致しないという大きな問題点も指摘されている1).この点は多項目計数器を使用する際無視できないことである.
我々はCoulter-SR (以下CC-SR),TOA−720(以下720),TOA−710(以下710)の3種の器械で,各種貧血特に球状赤血球症例,鉄欠乏性貧血を主とした小球性低色素性貧血及び大球性貧血例の検体についてHt,MCV,MCHCの測定値を比較し,これら疾患で差が生じるかどうかを調べた.その結果,筆者らが予想した以上に測定値間に差異のあることを知った.また同時に白血球数が増加した際,Ht値,Hb値が実際の値よりも高く測定され,したがって赤血球恒数に影響を及ぼすことについて検討し,データ管理上の問題点となることを知ったので併せて報告する.
掲載誌情報