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雑誌詳細

文献概要

今月の主題 肝疾患 技術解説

肝疾患と走査型電子顕微鏡

著者: 西正与1 市田文弘1 武藤正樹2 藤田恒夫2

所属機関: 1新潟大学第3内科 2新潟大学第3解剖

ページ範囲:P.259 - P.270

 走査電子顕微鏡(SEM)が肝組織学の研究に応用されて,今まで二次元的切片から再構築して理解していた肝の立体構造を,直接に観察できるようになった.特に肝臓の特別な毛細血管である類洞の内面や毛細胆管の走行を広い範囲にわたって同時に観察できる点が特徴で,光顕や透過電子顕微鏡(TEM)では理解できなかった構造間の位置関係が,手に取るように把握できるようになった.これらの進歩の基礎にSEM標本作製の改革があり,①灌流による細胞表面の洗浄,②タンニン酸オスミウム法による導電性の確保,③凍結割断法と臨界点乾燥法の組み合わせによる正確な形態保存が確立されてきたことは言うまでもない1)
 本稿ではSEMを用いて肝内胆管系の立体構造,類洞やディッセ(Disse)腔の位置関係を提示する.更にそれらの構造が疾患によってどのように修飾されるかを,ヒトの肝生検材料,実験ラット肝を用いて観察した所見を紹介する.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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