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新しいキットの紹介
酵素免疫法による血中抗てんかん薬測定キットの検討
著者: 久良美恵子1 笠原素子1 阪東慶一1
所属機関: 1国立大阪病院臨床検査部
ページ範囲:P.469 - P.473
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精神運動発作を伴うてんかんの治療薬として,今世紀初期よりフェノバルビタール(PB),プリミドン(PM)などバルビツール系薬物と,ジフェニルヒダントイン(DPH)をはじめとするヒダントイン誘導体が用いられてきた.しかしこれらの薬物が服用されて,実際に生体内で治療上の有効濃度を保ち,しかも長期間にわたる服用効果をあげるためには,血中における服用薬剤の濃度を直接測定する必要があるが,現在ほとんど実施されていない.更に多くの抗てんかん薬は血中有効濃度の範囲が比較的狭く,また中毒症状を起こす濃度範囲に近接しているので,わずかの投与量の増加が種々の神経学的中毒症状の惹起につながると言われている1).
従来より各種抗てんかん薬の血中濃度検出手段としては,ガスクロマトグラフィー(以下GLC)に依存してきた.しかしこの方法は,繁雑な抽出分離操作と特殊な機器装置を必要とするなど,到底臨床検査のレベルでは実施困難とされるものである.最近これに代わるものとして酵素免疫測定法が登場し,この方法による市販キット(homogeneous enzyme immunoassay;EMIT:Sy-va)2,3)も出現した.
精神運動発作を伴うてんかんの治療薬として,今世紀初期よりフェノバルビタール(PB),プリミドン(PM)などバルビツール系薬物と,ジフェニルヒダントイン(DPH)をはじめとするヒダントイン誘導体が用いられてきた.しかしこれらの薬物が服用されて,実際に生体内で治療上の有効濃度を保ち,しかも長期間にわたる服用効果をあげるためには,血中における服用薬剤の濃度を直接測定する必要があるが,現在ほとんど実施されていない.更に多くの抗てんかん薬は血中有効濃度の範囲が比較的狭く,また中毒症状を起こす濃度範囲に近接しているので,わずかの投与量の増加が種々の神経学的中毒症状の惹起につながると言われている1).
従来より各種抗てんかん薬の血中濃度検出手段としては,ガスクロマトグラフィー(以下GLC)に依存してきた.しかしこの方法は,繁雑な抽出分離操作と特殊な機器装置を必要とするなど,到底臨床検査のレベルでは実施困難とされるものである.最近これに代わるものとして酵素免疫測定法が登場し,この方法による市販キット(homogeneous enzyme immunoassay;EMIT:Sy-va)2,3)も出現した.
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