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文献詳細

雑誌文献

臨床検査24巻6号

1980年06月発行

文献概要

研究

新しい臨床検査としてのフィブリノゲン分画測定の試み

著者: 前田恭子1 今村多恵1 森川幸子1 奥田克子1 小島早苗1 須知泰山1

所属機関: 1愛知県がんセンター病院臨床検査部

ページ範囲:P.713 - P.717

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はじめに
 フィブリノゲンは血漿中の血液凝固因子のうちでは最も高濃度に存在しており,血液凝固に際してはフィブリンとなり,血餅の主成分を構成する.したがってフィブリノゲンの異常を検知することは,血液凝固系疾患の診断にとって極めて重要である.また,フィブリノゲンは肝で生産されるため血漿中のフィブリノゲンの量は肝機能をよく反映するから,肝機能を知るための手段としても利用されてきた.
 フィブリノゲンはα(A),β(B),γなるポリペプチド鎖のそれぞれ一対ずつ,合計6本のポリペプチド鎖より成る単一な蛋白であると考えられてきた1)が,最近に至って,フィブリノゲンが種々の分子種より成る可能性が示唆されるようになった.例えばFinlaysonら2)及びLipinskaら3)は,それぞれヒトフィブリノゲンが高分子量,低分子量の2分画より成ることを報告した.Mose-ssonら4)はこの低分子量分画がフィブリノゲンの部分水解物であると主張した.一方,Lipinskiら5)は重症肝障害患者の血漿において,総フィブリノゲン量は正常であるが,高分子分画が減少していることを報告した.またWeinsteinら6)は肝硬変患者の血漿において,フィブリノゲンの高分子,低分子分画の比は正常であるが,そのα(A)鎖の組成が異常であると報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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