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今月の主題 微量金属 総説
微量金属と生体
著者: 吉川博1
所属機関: 1岐阜大学・公衆衛生
ページ範囲:P.775 - P.782
文献購入ページに移動 生物と金属との出合いは,生物の発生した時点である.哺乳類はその発生時においてヘモグロビンに鉄を持っていた.爬虫類はヘモグロビンと同じように酸素運搬の作用をするヘモシアニンを持っているが,これは鉄の代わりに銅を持っている.同じ機能を有するものでありながらなぜ爬虫類では銅を取り込み,哺乳類は鉄を取り込んだのかはたいへん興味あることであるが,いまだこれを説明することはできない,生物中の金属は,生物が海水中で発生した時点で海水中から幾つかの金属を必要として取り入れたわけであろう.
こうした生体内の微量金属は生体の保持,栄養の面から考えると,ビタミンやホルモンのように生体内では合成できないもので,外界から摂取しなければならないし,時に生体内でその原子価は変えることはあっても,代謝されることはない.そうして欠乏しても,また逆に過量でも健康障害を起こしてくるものである.
こうした生体内の微量金属は生体の保持,栄養の面から考えると,ビタミンやホルモンのように生体内では合成できないもので,外界から摂取しなければならないし,時に生体内でその原子価は変えることはあっても,代謝されることはない.そうして欠乏しても,また逆に過量でも健康障害を起こしてくるものである.
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