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研究
ルミノール化学発光の臨床化学分析への応用—その基礎的研究
著者: 大澤一爽1 藤田幸江1
所属機関: 1東京大学・生理学
ページ範囲:P.827 - P.832
文献購入ページに移動はじめに
発光現象を応用した微量分析の方法は,入射光を必要とする従来の分光分析法と比べ,発光というエネルギーを直接検出するという点でユニークな存在になりつつある.しかしここで取り上げた化学発光であるルミノール,その他ルシゲニン,生物発光のルシフェリン,エクオリンなど,いずれもその発光現象の機構は十分に解明されていない,それにもかかわらず,発光現象の応用例が数多く報告されている1,2,7).本文でも発光機構を検討しながら,ルミノール+触媒+H2O2による化学発光反応でH2O2の定量を試みたが,求めようとするH2O2の信号が雑音に埋まってしまうという現象がみられた.雑音を消去したとしても,発光数積分値—H2O2濃度曲線を,一つの直線で表すことができない場合があった.
この直線性の濃度範囲を明確にできないところに,微量分析への応用に対する弱点が存在する.しかし微弱光計測技術の諸特性からみると,微量で少数の光子数を計数するところに最適値が存在する.入射光強度に相当する化学発光反応液の濃度をどこに定めるべきかをH2O2定量という点で提供してみようと思う.
発光現象を応用した微量分析の方法は,入射光を必要とする従来の分光分析法と比べ,発光というエネルギーを直接検出するという点でユニークな存在になりつつある.しかしここで取り上げた化学発光であるルミノール,その他ルシゲニン,生物発光のルシフェリン,エクオリンなど,いずれもその発光現象の機構は十分に解明されていない,それにもかかわらず,発光現象の応用例が数多く報告されている1,2,7).本文でも発光機構を検討しながら,ルミノール+触媒+H2O2による化学発光反応でH2O2の定量を試みたが,求めようとするH2O2の信号が雑音に埋まってしまうという現象がみられた.雑音を消去したとしても,発光数積分値—H2O2濃度曲線を,一つの直線で表すことができない場合があった.
この直線性の濃度範囲を明確にできないところに,微量分析への応用に対する弱点が存在する.しかし微弱光計測技術の諸特性からみると,微量で少数の光子数を計数するところに最適値が存在する.入射光強度に相当する化学発光反応液の濃度をどこに定めるべきかをH2O2定量という点で提供してみようと思う.
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