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研究
光学顕微鏡標本中の特定な部分を電子顕微鏡写真にする試み—光顕・電顕同一視野観察法
著者: 千田龍吉1 川北勲2
所属機関: 1慶応義塾大学伊勢慶応病院電子顕微鏡室 2慶応義塾大学伊勢慶応病院中央検査室
ページ範囲:P.1059 - P.1062
文献購入ページに移動一般病理検査室では各種剖検,生検材料の病理診断は光学顕微鏡(以下光顕)によって行っている.しかし症例によっては電子顕微鏡(以下電顕)を併用すれば,なお多くの情報が得られる場合もある.前もって電顕の必要なことが推測できれば両方の準備を行うが,実際には生検前に組織像を推測することは困難であり,すべての例に電顕材料を作ることはむだが多くてできない.また電顕が必要と思われるときにも光顕所見を見てから再度,電顕だけのために生検を施行することは実際問題としては困難な場合が少なくない.光顕で必要と思われる同一部位を電顕で撮影することが可能であるならば,より詳細な点まで分かり有用である.
我々は光顕標本の特定の視野を電顕で撮影する試みを行った.既に光顕用の固定,包埋,染色が施してあるため,最初から電顕用に固定,包埋したものに比較して出来上がった写真が良くないことは当然のことであるが,パラフィン切片内の細菌,細胞内異物,ウイルス,封入体及び各種小体などの細胞との関係,光顕レベルの診断の再確認には有用な手段と考える.本文ではヘマトキシリン・エオジン染色標本について実施した結果について報告する.
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