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酵素免疫測定法によるα-フェトプロテインの測定
著者: 西田康一1 松村直幸1 堀田忠弘1 吉川敏一1 近藤元治1
所属機関: 1京都府立医科大学第1内科
ページ範囲:P.1081 - P.1084
文献購入ページに移動アルファーフェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)は,電気泳動でα分画に認められる分子量約64,600の胎児蛋白1)で,正常成人血清には極めて微量(20ng/ml以下)にしか存在しない2).しかしある病的状態で血清AFPは増加し,特に原発性肝細胞癌の約80%で著しい上昇を示すことより,現在その測定が肝疾患の鑑別や原発性肝細胞癌の早期発見などに広く利用されている3).また異常妊娠において妊娠血中や羊水中のAFPが上昇することより,奇型児出産予防の点で産科領域でも最近注目されている4).
AFPの測定は従来,ゲル内一元免疫拡散法(single radial immunodiffusion),逆受身赤血球凝集法(reversed passivc hemagglutination),更により高感度のラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay;RIA)などの免疫学的手法により行われてきた.しかし高感度定量法として推賞されているRIA法は特殊な装置を必要とするうえ,使用中の放射能汚染の危険性,使用後の放射性物質廃棄問題などをかかえており,それに代わる放射性物質を用いない安全な高感度AFP測定法の開発が望まれていた.
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