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文献詳細

雑誌文献

臨床検査25巻10号

1981年10月発行

文献概要

研究

市販されている三キットを用いた血漿cyclic AMP濃度の比較検討

著者: 後藤徳子1 冨永詩郎1 村上松太郎1

所属機関: 1秋田県立脳血管研究センター内科研究部

ページ範囲:P.1161 - P.1164

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はじめに
 アデノシン3',5'モノホスフェート(cyclic AMP;cAMP)の生理学的1),病態生理学的役割2)については広範にわたる研究が報告されているが,体液中のcAMP濃度が臨床検査上の意義を有するとの報告はまだ少ない.例えば,尿中排泄量が偽性副甲状腺機能低下症の鑑別診断に3),また血漿中の濃度が心筋梗塞の予後判定に役立つとか4,5),脳せき髄液中の濃度が頭部外傷6)や脳血管障害7)において意識障害の程度と相関がみられた,という程度にとどまる.また筆者らの観察によれば急性期脳梗塞において,脳シンチグラム上の異常範囲の大きさと,末梢静脈血漿中cAMP濃度の経日変動とは相関を示すが,脳脊髄液中や内頸静脈血漿中のcAMP濃度とは相関を認めなかった8)
 このように,各報告にみられる体液中のcAMP濃度の諸疾患における変化をはじめとして,その絶対値には報告により大きな相違がある.この理由の一つに測定法による差が考えられるので,市販キットの比較検討を試みた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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