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新しいキットの紹介
螢光スペクトル差を利用したカテコールアミン分別定量キットについての基礎的検討
著者: 中井利昭1 山田律爾1
所属機関: 1獨協医科大学臨床病理
ページ範囲:P.1174 - P.1176
文献購入ページに移動はじめに
生体内のカテコールアミンとしてはアドレナリン,ノルアドレナリン,ドーパミンがあり,これらホルモンの測定は交感神経・副腎髄質機能検査として重要である.しかし実際に検査室でカテコールアミンの測定が必要となる疾患は褐色細胞腫であり,またこの測定が褐色細胞腫診断の唯一の決め手となるため,現在の尿中カテコールアミンの測定意義はこの疾患に限っていると言ってよいと思われる.このように重要な測定項目であるが,現在のところ尿中カテコールアミンが実際に測定されている検査室は少ない.これは測定法としては既に二十数年前より極めて感度の高い,また比較的再現性の優れた螢光法が発表されているが1〜3),カラム作製など測定の煩雑さのためなお研究室での測定の段階にとどまっている.最近は高速液体クロマトグラフィーが一部の検査室で用いられるようになったが,高価なためすべての検査室で普及するには問題点があり,螢光測定法はなお捨て難いものであろう.
今回,我々はBio-Rad Laboratoriesの螢光法4,5)によるカテコールアミン測定キットを入手し,これについて基礎的検討を加え,検査室でのルーチン化に有用であることを明らかにした.従来よりカテコールアミンの螢光測定法としては,pHによる酸化の差を利用した方法が用いられてきた.すなわちpH 2〜3.5で酸化するとアドレナリンは酸化されて螢光を発するが,ノルアドレナリンはほとんど酸化されない.
生体内のカテコールアミンとしてはアドレナリン,ノルアドレナリン,ドーパミンがあり,これらホルモンの測定は交感神経・副腎髄質機能検査として重要である.しかし実際に検査室でカテコールアミンの測定が必要となる疾患は褐色細胞腫であり,またこの測定が褐色細胞腫診断の唯一の決め手となるため,現在の尿中カテコールアミンの測定意義はこの疾患に限っていると言ってよいと思われる.このように重要な測定項目であるが,現在のところ尿中カテコールアミンが実際に測定されている検査室は少ない.これは測定法としては既に二十数年前より極めて感度の高い,また比較的再現性の優れた螢光法が発表されているが1〜3),カラム作製など測定の煩雑さのためなお研究室での測定の段階にとどまっている.最近は高速液体クロマトグラフィーが一部の検査室で用いられるようになったが,高価なためすべての検査室で普及するには問題点があり,螢光測定法はなお捨て難いものであろう.
今回,我々はBio-Rad Laboratoriesの螢光法4,5)によるカテコールアミン測定キットを入手し,これについて基礎的検討を加え,検査室でのルーチン化に有用であることを明らかにした.従来よりカテコールアミンの螢光測定法としては,pHによる酸化の差を利用した方法が用いられてきた.すなわちpH 2〜3.5で酸化するとアドレナリンは酸化されて螢光を発するが,ノルアドレナリンはほとんど酸化されない.
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