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文献詳細

雑誌文献

臨床検査25巻13号

1981年12月発行

文献概要

今月の主題 血液ガス分析と酸—塩基平衡 技術解説

酸素飽和度計

著者: 松本佶也1 白石透1

所属機関: 1東京大学病院中央検査部

ページ範囲:P.1571 - P.1576

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 血液ガス分析は長い間,Van Slyke検圧法によって行われてきた.すなわち,血液中に存在するO2,CO2量を測定し,CO2分圧は血液pH値とCO2含量から.O2分圧はO2含量にO2抱合能分析を加え,酸素飽和度を求めて,これとpH値とから換算して求めた.ヘモグロビン解離曲線が上端において平坦なために,このようにして求めるO2分圧は,誤差が極めて大きい欠点がある.Clark電極の開発,電極法による血液ガス分析セットの普及とともに,現在では,O2分圧を求める方がやさしくなってしまい,酸素飽和度,更にO2含量が,逆に,O2分圧とpHとから換算されるのが普通である.
 しかし,このような換算は,定まったO2—Hb解離曲線の存在を仮定して行うものである.O2—Hb解離曲線は,pH,CO2分圧(Bohr効果),血液温度による移動のほか,COヘモグロビンの存在,赤血球内2,3DPG濃度により影響される.特に,2,3DPGは激しい運動,低酸素血症,内分泌疾患など非常に多くの原因によって増減する1)ので,測定試料によく一致した解離曲線を知ることは極めて困難である.また静脈血レベルでは,解離曲線の勾配が急峻なために,O2分圧から酸素飽和度に換算するのでは誤差が大きくなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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