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追悼
故高橋昭三先生を偲んで
著者: 松橋直1
所属機関: 1国立予防衛生研究所
ページ範囲:P.336 - P.336
文献購入ページに移動 畏友高橋昭三君にはもう会えなくなった.高橋昭三君と交友を結んだのは,本誌「臨床検査」の編集を通じてであった.本誌創刊のころは,東大病院に中央検査部が設立途上にあった.我が国にも,本格的な中央検査システムを導入すべく,東大医学部の有志が献身的な努力を果たしているころであり,東大の試験的試みが成功するか否かは注目されているころである.しかし,海外の情勢を察すれば,この方面への展開は必至のものでもあった.その点に着目して本誌創刊の準備が進められていた.臨床検査領域における各部門から,この方向に関心を持つ者が選ばれ編集の任に当たった.細菌部門からは,秋葉朝一郎先生(当時東大教授)が参画されたが,やがて高橋君に譲られた.高橋君は,臨床検査の意義を強く感じ,実際面での活躍で頭角を現していたが,その点に着目された秋葉先生の烱眼による推薦であった.秋葉先生の御期待は見事に適中し,「臨床検査」において,次から次へと適切な企画を立案し,我が国における細菌検査の中央化に貢献している.
一方,東大の中検においては実務が進行していた.筆者は血清検査室で努力していたが,隣の細菌検査室でも高橋君が頑張り始めていた.今でこそ細菌検査も体系付けらねているが,当時は臨床側からの要望が多種多様であり,その要望を整理し体系化することは容易なことではなかった.
一方,東大の中検においては実務が進行していた.筆者は血清検査室で努力していたが,隣の細菌検査室でも高橋君が頑張り始めていた.今でこそ細菌検査も体系付けらねているが,当時は臨床側からの要望が多種多様であり,その要望を整理し体系化することは容易なことではなかった.
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