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研究
多項目検査情報の有効利用に関する一考察
著者: 丹後俊郎1 西岡久寿樹2 倉科周介1
所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所臨床疫学 2三重大学第3内科
ページ範囲:P.443 - P.448
文献購入ページに移動生化学・血液学的研検査などの臨床検査には,生体内部の状態の変化を連続量で表現するものが多い.ところが,これらのデータを使用する臨床の場においては,検査室で設定した"正常値"というフィルターを個別に通過させることにより,極論すれば正常か異常かという"離散量"に変換されている.しかもこのフィルターの操作は.すべて個々の臨床医にゆだねられているのが実情である.
ところで,生体内部の状態は,単一指標で規定されるほど単純ではなく,多次元的な複数の指標の組み合わせによって炎現されると考えるのが自然であろう.とすれば,上記のごとく遂行されている今日の日常診療行為の過程においては,少なくとも,(1)検査項目選択の最適性への疑問.(2)集団の"正常値"の解釈の妥当性の問題.(3)連続量から離散量への変換による情報量の損失,(4)多次元空間的な認識における人間の思考能力の限界.などの問題が存在し,検査データが含有する貴重な生体情報の発堀と利用が,臨床医学の場で効果的に行われているとは言い難い.
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