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研究
酵素抗体法(PAP法)の検討
著者: 佐藤雄一1 中島孝1 黒木将仁1 阿部ゆかり1 渡辺昌1
所属機関: 1国立がんセンター研究所病理部
ページ範囲:P.449 - P.453
文献購入ページに移動現在童でに組織内における蛋自質,特に酵素活性を持たない蛋白質の局在を証明する方法として,主に螢光抗体法,酵素抗体法などがある.螢光抗体法はCoons1)により創始されて以来,確立された方法として広い範囲で用いられてきた.しかし螢光顕微鏡装置が必要なこと,永久標本が作れないこと,HE標本などと対比することが難しいことなどの点から,通常の臨床検査においては,その使用が限られている.一方,Nakaneら2)により考案された酵素抗体法は特別な装置が必要でなく,永久標本が作製でき,螢光抗体法と比較して所見のとり方が容易であり,更に電顕への応用が可能なことなどの点から,現在では免疫組織化学の一方法として,その重要性はますます高まってきている.しかし抗原性の保存のために種々の固定液を選択しなければならず,そのことが今のところ検査室において利用ざれていない原因の一つのように思わねる.
今回我々は通常ホルマリン固定,パラフィン包埋された皮内母斑の組織切片を用い,一次抗体として神経組織特異S100蛋白3)抗体を使用して酵素組織化学(peroxi-dase anti:pcroxidase method;PAP法4,5))を行い,その有用性とPAP法に関する諸問題を検討した.
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