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文献詳細

雑誌文献

臨床検査25巻6号

1981年06月発行

文献概要

今月の主題 貧血 技術解説

鉄結合能

著者: 宮崎保1 桜田恵右1 島田泰栄1

所属機関: 1北海道大学第3内科

ページ範囲:P.603 - P.609

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 血清中の鉄は生理的状態では,すべてトランスフェリン(transferrin)と結合して存在している.このトランスフェリンは2原子の鉄と結合するが,通常は血清中約1/3のトランスフェリンが鉄と結合して存在し(=血清鉄,serumiron;SI),約2/3のトランスフェリンは鉄と結合していないもの(=不飽和鉄結合能,unsaturated iron binding capacity;UIBC)として存在する.したがって血清の鉄と結合しうる能力(範囲)は血清鉄+不飽和鉄結合能であり,これは総鉄結合能(total iron binding capacity;TIBC)と呼ばれている.
 鉄結合能は鉄欠乏状態,鉄過剰状態,無トランスフェリン血症など鉄代謝異常を示す疾患あるいは病態においてそれらを反映するごとく変化を示すので,その測定は血液疾患(鉄欠乏性貧血はもちろんであるが,鉄芽球性貧血,各種溶血性貧血,真性多血症,ヘモジデローシス,ヘモクロマトーシスなど),肝疾患(急性肝炎,慢性肝炎など),消化管疾患(静脈瘤,潰瘍.癌よりの出血)のみならず,炎症及び腫瘍性疾患などの診断,治療方針決定ならびに子後判定に極めて有用である.以下,鉄結合能の意義と,鉄結合能測定としてラジオアッセイ法,電極法を紹介し,それらの問題点と測定成績について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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