文献詳細
文献概要
研究
水痘ウイルス中和試験用抗原調整方法と中和試験への影響
著者: 高山道子1 大谷明1
所属機関: 1国立予防衛生研究所ウイルス=リケッチア部
ページ範囲:P.1525 - P.1528
文献購入ページに移動 VZV感染細胞を超音波処理し,その遠心上清を中和試験用抗原とする場合,遠心が低速なほど高力価の感染性ウイルスが得られる.しかし37℃での中和反応は,1,OOO rpm 15分間遠心処理ウイルスでは抗体の低濃度域で中和されにくい傾向を示したが,3,000rpm 30分間遠心処理ウイルスではウイルス量および抗体量のより広範囲の変量域においてほぼ一定した中和反応速度曲線が得られた.
HEL細胞への37℃でのウイルス吸着では,1,000rpm処理,3,OOO rpm処理ウイルスとも90分で最高に達し,0,45μmのミリポアフィルターで濾過したウイルスではやや遅い傾向がみられた.また,吸着後PBS(+)やPBS(−)で洗浄すると吸着率の低下が認められたが,Ca2+,Mg2+存在下では吸着率は1.7倍上昇した.
以上の実験結果から,VZV中和試験では,抗原には3,000rpm 30分間遠心処理ウイルスを用い,細胞をウイルス接種前PBS (+)で洗浄し,接種後洗浄しない方法がもっとも適当であると思われる.
HEL細胞への37℃でのウイルス吸着では,1,000rpm処理,3,OOO rpm処理ウイルスとも90分で最高に達し,0,45μmのミリポアフィルターで濾過したウイルスではやや遅い傾向がみられた.また,吸着後PBS(+)やPBS(−)で洗浄すると吸着率の低下が認められたが,Ca2+,Mg2+存在下では吸着率は1.7倍上昇した.
以上の実験結果から,VZV中和試験では,抗原には3,000rpm 30分間遠心処理ウイルスを用い,細胞をウイルス接種前PBS (+)で洗浄し,接種後洗浄しない方法がもっとも適当であると思われる.
掲載誌情報