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文献詳細

雑誌文献

臨床検査26巻13号

1982年12月発行

文献概要

今月の主題 妊娠 総説

妊娠経過と検査値

著者: 目崎登1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系産婦人科

ページ範囲:P.1589 - P.1596

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はじめに
 妊娠とは,一個の受精卵が約10か月(実際には平均38週)の間に3,000gを超す胎児に発育し,それをはぐくむために子宮は腹腔を満たすほどの大きさになって,それらを栄養するために母体の循環機能をはじめとするあらゆる生理機能が大きく変化する現象である.その結果,母体には大きな負担がかかるわけであるが,本来,妊娠は生理的な現象であるがゆえに,大部分は特別な異常をみることなく分娩に至る.しかし,なんらかの合併症や機能異常の部分を持っている妊婦では,負荷に耐えかねて異常が発生しやすいし,また,その異常は母体のみならず胎児にも発育遅延や胎児死亡あるいは早産による未熟児出生などの危険を招来することがある.さらに妊娠,分娩は胎盤の着床異常(前置胎盤や常位胎盤早期剥離)のように,妊娠自体の異常によっても母児の生命が危険に脅かされる可能性も大きい.
 以上のように多くの危険をはらんでいる妊娠経過を管理し,危険を未然に防止しながら,成熟児を安産に導くように監視し指導するのが,妊婦管理の目的である.したがって,最初から異常があるわけではないので,予測される危険発生を早期に発見するためには,総合的なスクリーニング検査を実施せざるをえない.検査項目は母児のあらゆる状態に応じて多いほどよいに決まっているが,実地臨床の場では能力的に限界があるので,通常はルーチン的な検査に限られる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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