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分離分析の技術Ⅰ・12
SDS-PAGEスラブ電気泳動—赤血球膜蛋白質の分離
著者: 八幡義人1 宮島厚介1
所属機関: 1川崎医科大学内科学教室
ページ範囲:P.1635 - P.1643
文献購入ページに移動はじめに
ヒト成熟赤血球は細胞膜研究のプロトタイプとしての意義を有し,この研究は著しい進歩を遂げている1,2).臨床的には,わが国における溶血性疾患の多くは,なんらかの形で膜代謝障害をその病因としている3).この中で,膜蛋白異常がその主体と考えられる疾患群があり,従来からナトリウムドデシル硫酸塩(sodium dodecyl sulfate;SDS)による膜蛋白可溶化法を用いたポリアクリルアミドゲル(PAG)電気泳動法(SDS-PAGE)4〜9)を使って,その病態研究が行われている.この場合,ディスク型SDS-PAGE法(図1)を使うのが一般的であるが,その分離能に限界がある(図2)ため,最近では,平板(スラブ)型SDS-PAGEを行う試みがなされている10〜13).平板法の場合,二次元展開を行うことが可能だからである.
そこで,本稿では,ヒト成熟赤血球膜ゴースト(ghost)蛋白を試料に,SDS-PAGEのスラブ型について述べ,その利点および実施の概要を示すことにする.
ヒト成熟赤血球は細胞膜研究のプロトタイプとしての意義を有し,この研究は著しい進歩を遂げている1,2).臨床的には,わが国における溶血性疾患の多くは,なんらかの形で膜代謝障害をその病因としている3).この中で,膜蛋白異常がその主体と考えられる疾患群があり,従来からナトリウムドデシル硫酸塩(sodium dodecyl sulfate;SDS)による膜蛋白可溶化法を用いたポリアクリルアミドゲル(PAG)電気泳動法(SDS-PAGE)4〜9)を使って,その病態研究が行われている.この場合,ディスク型SDS-PAGE法(図1)を使うのが一般的であるが,その分離能に限界がある(図2)ため,最近では,平板(スラブ)型SDS-PAGEを行う試みがなされている10〜13).平板法の場合,二次元展開を行うことが可能だからである.
そこで,本稿では,ヒト成熟赤血球膜ゴースト(ghost)蛋白を試料に,SDS-PAGEのスラブ型について述べ,その利点および実施の概要を示すことにする.
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