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文献詳細

雑誌文献

臨床検査26巻6号

1982年06月発行

文献概要

今月の主題 ショック 総説

ショックの成因と病態—最近の考えかた

著者: 林四郎1

所属機関: 1信州大学医学部第1外科

ページ範囲:P.659 - P.667

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"ショック"に関する歴史と概念
 今日ではショックという医学用語が一般にもなじみ深いものとなり,「あんなことを言われてショックを受けた」,「あのニュースはショックだった」などと使われることが少なくないが,本来の意味を持ったショックという用語,「損傷に基づいて生体に出現する特異な反応」をショックという用語で表現するようになったのは今から200年以上も前のことで,英国のH.F.Le Dranがその人であるらしい.その後いろいろな変遷を経ている間に,ショックの定義やそれに対する考えかたも変わってきた.
 ショックの研究の歴史上,第一次・第二次世界大戦,朝鮮戦争,ベトナム戦争によってショックの病態,治療などに関して長足な進歩がもたらされたと言えるが,その中でも二次大戦前後にすばらしい研究の発展が認められた.例えば,1940年にBlalockによって示されたショックの概念「血管床と循環血液量との平衡関係の失調により惹起された末梢循環不全」,1942年のWiggersらによる「数多くの生体機能低下の結果,惹起された症候群で,この生体機能低下は有効な血液循環の悪化によって発現し,やがて非可逆的な循環障害へと進展していく運命をもつ」という定義などは今日でも十分に通用する内容を持った,りっぱなものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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