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負荷機能検査・32
カロリック試験
著者: 杉田麟也1
所属機関: 1順天堂大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.922 - P.929
文献購入ページに移動 カロリックテスト(caloric test)は温度刺激眼振検査と言い,めまい(眩暈),平衡障害の検査法の一つである.本検査は一側の外耳道に一定温度の水を注入し,眼振の誘発される状態により末梢迷路の機能を検査するものである.すなわち,前庭平衡機能系のうちvestibulo-ocular reflex(前庭—眼反射)を利用するもので,内耳から延髄の前庭神経核に至る前庭神経の一次ノイロン(神経元)の機能を知ることができる.
前庭—眼反射の経路1))をみると(図1),内耳は同側眼の内直筋と対側眼の外直筋とに緊張性のインパルス(衝動)を送っている.したがって,左内耳が温められて半規管の内リンパ液に対流が起こると,左眼内直筋と右眼外直筋が緊張し,左右両眼球はゆっくり右方へ偏位する.一方,眼は絶えず正中を見ようとする働きがあり,このため眼球はある程度を超えて右方へ偏位すると,橋脳の注視中枢の働きで正中位にすばやく戻る.この律動的な眼球運動を観察するものである.
前庭—眼反射の経路1))をみると(図1),内耳は同側眼の内直筋と対側眼の外直筋とに緊張性のインパルス(衝動)を送っている.したがって,左内耳が温められて半規管の内リンパ液に対流が起こると,左眼内直筋と右眼外直筋が緊張し,左右両眼球はゆっくり右方へ偏位する.一方,眼は絶えず正中を見ようとする働きがあり,このため眼球はある程度を超えて右方へ偏位すると,橋脳の注視中枢の働きで正中位にすばやく戻る.この律動的な眼球運動を観察するものである.
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